2018-01-23 「時雨 四章」『駱駝の瘤にまたがつて』 『駱駝の瘤にまたがつて』 花木槿 人に面おもても見すまじきけふの心のかたくなをしかはあれどもよしとするゆふべはしろき花木槿はなはちす 村雨 こゑありて見れば村雨またありておつる日のかげ秋は巷もひそかにてただとほしつくつく法師 しぐれの雨も しぐれの雨もくれなゐに軒ばの花のちる日かなせんすべしらにとる筆の墨にも花のおつ日かな ひとり能なき ひとり能なき越びとの世をうれふとも何かせん市いちに二合のものをかふしぐれの客とうらぶれて 三好達治「時雨 四章」『駱駝の瘤にまたがつて』(S27.3刊)