書店に出るのを待ちかねて買つた詩集、それが二册ある。二册きりのほか思ひ出せない。萩原朔太郞の『純情󠄁小曲集』と堀口大學の『月󠄁下の一群』。どちらも大正十四年の刊行で、前󠄁者は八月󠄁後者は九月󠄁と、刊記を見ると隣合つてゐるのにただ今氣づいた。八月…
――上海雜觀追󠄁記―― 私は先月二十六日朝󠄁佐世保に着きました。上海を發つたのは二十五日早朝󠄁、その朝󠄁はたいへん寒󠄁い朝󠄁で路面には霜が降りてゐました、虹口碼頭の棧橋も眞白になつてゐました。水溜りには薄い氷が張つてゐました。まづ汽艇󠄁で出雲に行き、…
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