「賊風料峭」『寒柝』
今宵またかうかうと怒り高鳴り
いねがての枕べのものさゆらぎやまず
小夜ふけの三更四更
なゐふるひ
ああそは人のこころの
ふかく忍びて
怒りに耐へたるに似たるかな
敵機昨帝都に入り
げにこは如何に
われら邉土草莽の身をそばだて
今宵賊風料峭たるに
ただ夜もすがら
こころ苦がきを忍びて
寒枕のさゆらぐを
告げましをあな――
三好達治「賊風料峭」『寒柝』(S18.12刊)
今宵またかうかうと怒り高鳴り
いねがての枕べのものさゆらぎやまず
小夜ふけの三更四更
なゐふるひ
ああそは人のこころの
ふかく忍びて
怒りに耐へたるに似たるかな
敵機昨帝都に入り
げにこは如何に
われら邉土草莽の身をそばだて
今宵賊風料峭たるに
ただ夜もすがら
こころ苦がきを忍びて
寒枕のさゆらぐを
告げましをあな――
三好達治「賊風料峭」『寒柝』(S18.12刊)