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三好達治bot(全文)

bot及びブログについては初めにこちらをご覧ください http://miyosibot.hatenablog.com/entry/2017/03/28/110448

「旭日旗樹つ」『寒柝』

サイパンは神州の南關旭日旗ここに翩翩と樹つ驕虜ここに蝟集し來り艦砲ここに直射し爆彈ここに雨ふれど旭日旗嚴として硝煙の間に樹つ戰艦咫尺に出没し飛機頭上を覆ひ輕舸走せ戰車驅り來り既にして敵勞われに幾倍勢に傲りて跳梁をほしいままにせんとす然れど…

「某造船所に於て」『寒柝』

歷史は一の運行にして船舶これを載せ、船舶これを運ぶ。今日鐵塊を擊ち、鐵板を截つて船舶を建造する者、卽ち兄らは兄らの雙手をもて國民の意志を押し切り、祖國の正義をはるかに萬里の外に布く者、まことに手づから今日の歷史を設計し運營し推進する者。兄…

「擊ちてし止まむ」『寒柝』

半宵眠り成りがたくひそかに思ふ萬里の外星かげまれなる夜陰をつらぬき一の艦影幻の如く煤煙遠くふきなびけ舷燈ことごとく滅して疾航(しつかう)し疾航するを――風はやし吹雪まひいでかぐろき怒涛舷側の飛沫聲あるものことごとく叫び吼え聲なき石は緘默(か…

「さくら」『寒柝』

丘のべにさくらは咲きぬ濠ばたにさくらは咲きぬ町びとのつきかふつむじ海とほく見ゆるつつみにげにうらうらとさくらの花はさきいでぬ萬里のほかにゑびすらをうらせたまひてうるそ身はかへりたまはぬ益良男のみたまいまかへりたまひぬしきしまのやまとの國に…

「一握の砂」『寒柝』

松の林のした草ははやうらうらと萌えてしが彌生高潮(やよひたかしほ)鳴るなべに坐りてむすぶ白砂はなほしをゆびにつめたけれつめたき砂をいくたびかわれはむすびつたなぞこにもろき小阜(つかさ)はくづほれぬそがひの山は暮るるとて彼方に赤き雲は燃ゆこ…

「桃の花」『寒柝』

そのこころうらうらとそのすがたたをやかに權(けん)たかききはにはあらぬそのよそひうすくれなゐにつつましきいざ彌生 ひいなまつりのもものはなさすたけのきみらのはなぞげにこのくにのをとめごらこのはなこそは――きのふけふしたてるばかりにさきにほふを…

「寒驛の晝」『寒柝』

あなあたらますら武夫(たけを)がうつし身はゑびすが彈丸(たま)にはじけとびたまひけらしなけふ春の野べをとどろと走りこしひとつらの汽車靖國のみたまをのせて雲雀啼く寒驛の晝しづかなる構舎に入りぬ昨(さく)の夜は警報布(し)きて村人らかたみにた…

「櫻花繚乱」『寒柝』

さくらの下に子らあまたつどひて遊べり うらうらとさくらの花のさきいづる並木のかげは ものなべてほのかににほひ明るみて 肌さむき日のうす陽さへわきてなつかし こぞの日のかかる春日(はるひ)もわれはこの水のほとりに 古椅子にいこひてものを思ひたり …

「寒柝」『寒柝』

星冴え山山か黝くたたずみ聚落(じゆらく)寂莫として灯火(ともしび)暗く睡れるに丁鼕(ていとう)とはるかに馨あり風死し水渇れ何ものの應ふるなきに丁鼕と馨はひとり寒天に起り闃(げき)たる彼方を步み來る夜深くして睡らざるもの凛烈たる意志聽けそは…

「起󠄁て佛蘭西!」『寒柝』

世に最賤劣の裏切あり世に最酷薄の忘恩あり世に最鐵面皮の破廉恥あり世に何事か忍びて爲さざるなきの意思あり然り 我らそを太陽の下に見る我らそを今日つぶさに眼前に見たり起て佛蘭西!昨は汝の精銳十萬フランダースの野に竭きし時砲聲を彼方に聞きすて三軍…

「梅林小歌/-相模野乙女に代りてうたへる」『寒柝』

み軍(いくさ)はみなみにすすみ西東一萬海里天つ日の光ひた射す海原に陸(くが)に小島に日のみ旗なびかひゆかずしのびつつ初夏の野にほととぎす啼きわたる日にあまさかるひなの乙女がうたうたひいく日か摘めるこれはこれ梅のまろ實ぞ しろたへの富士の高嶺…

「梅林小歌/-相模野乙女に代りてうたへる」『寒柝』

み軍(いくさ)はみなみにすすみ西東一萬海里天つ日の光ひた射す海原に陸(くが)に小島に日のみ旗なびかひゆかずしのびつつ初夏の野にほととぎす啼きわたる日にあまさかるひなの乙女がうたうたひいく日か摘めるこれはこれ梅のまろ實ぞ しろたへの富士の高嶺…

「日本の子供」『寒柝』

日本の子供日本の子供世界一幸福な日本の子供世界一重い責任と 世界一高い名譽とをになふ日本の子供正義の戰さにうち勝ち 人道の上に明日の世界をうち建てるもの日本日本の子供世界の地平に輝かしい夜明けをもたらすもの世界に永遠の平和と 希望と 繁榮とを…

「賊風料峭」『寒柝』

昨夜(よべ)高かりし海の音今宵またかうかうと怒り高鳴りいねがての枕べのものさゆらぎやまず小夜ふけの三更四更なゐふるひ家居(いえゐ)さへ時にわななくああそは人のこころのふかく忍びて怒りに耐へたるに似たるかな敵機昨帝都に入り羶羯(せんけつ)の…