三好達治bot(全文)

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2017-07-06から1日間の記事一覧

「我ら何をなすべきか」『百たびののち』

傷(て)を負つてはんやになつて一羽の雉が墮ちてゆく 谿川の瀨の鳴る中をあたりに殘る谺の中を 谿のむかふへ墮ちてゆく墮ちてゆく 一度は空にあがつたが再び空に身をなげたが いづれは墮ちるものとして抛物線を墮ちてゆく 墮ちてゆく………… 夕暮れに眼をつむ…

「落ち葉つきて」『百たびののち』

落葉つきて 梢こずゑを透く陽ざし冬の夕陽をしなやかにゆりあげる彼らの仲間みなひと方にかたなびく欅の梢ここの並木の瘤こぶの老樹の肩 胸 腰腰かけほどにくねり上つたその根かたさけてよじれて傾いた變な窓からこの變てこなうつろからさへやつてくるついに…

「はるかな國から」『駱駝の瘤にまたがつて拾遺』

——詩集「二十億光年の孤獨」序―— この若者は意󠄁外に遠󠄁くからやってきたしてその遠󠄁いどこやらから彼は昨日發つてきた十年よりさらにながい一日を彼は旅してきた千里の靴󠄁を借りもせず彼の踵で踏んできた路のりを何ではからうまたその曆を何ではからうけれど…