「急霰 四章」『駱駝の瘤にまたがつて』
霰うつ
霰うつ
山兎山鳩
この宿の主じはひとり
やぶれたる夢をむすばず
沖ゆ來て
沖ゆ來て松に聲あり
けたたまし軒を走りて
つかのまやはらら聲たゆ
たま霰ゆくへをしらず
わが庭の
わが庭の石うつ霰
松こえて海にはせいる
日に三たび港に舟の
はててのち夜には七たび
霰ふる
霰ふる庭に剪らせて
わななくをさしはさみたる
菊一枝 花二輪
みなし子のごとく相寄る
三好達治「急霰 四章」『駱駝の瘤にまたがつて』(S27.3刊)
霰うつ
霰うつ
山兎山鳩
この宿の主じはひとり
やぶれたる夢をむすばず
沖ゆ來て
沖ゆ來て松に聲あり
けたたまし軒を走りて
つかのまやはらら聲たゆ
たま霰ゆくへをしらず
わが庭の
わが庭の石うつ霰
松こえて海にはせいる
日に三たび港に舟の
はててのち夜には七たび
霰ふる
霰ふる庭に剪らせて
わななくをさしはさみたる
菊一枝 花二輪
みなし子のごとく相寄る
三好達治「急霰 四章」『駱駝の瘤にまたがつて』(S27.3刊)