三好達治bot(全文)

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随筆

「暮春記」

1 去年の、ちやうど今頃のことである。 その頃私は信州のある山間で暮してゐた。私はそこで春を送り初夏を迎へた。病後の疎懶な生活が固癖になつて、たださへなまくらな私の心は、一寸制馭の法もない橫着なものになつてしまつた。それには私も、實は我れな…

「夏のおわりの日まわり」

浜に出て沖を見ていた。ながく沖の方を見つめていた。ものに疲れた夏の日の昼すぎと、むなしいちぎれ雲と、遠くうつけた眼に見る薄曇り、気のせいほどの遠雷。ながらく私はそのむなしいものを見つめていた。ここにこみあう人々の群れにまぎれて、歌声や呼声…