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三好達治bot(全文)

bot及びブログについては初めにこちらをご覧ください http://miyosibot.hatenablog.com/entry/2017/03/28/110448

「煙子霞子」『霾』

壁には新らしい繪を揭げ甕には新らしい花を挿し窗には新らしい鳥籠を吊るしたこれでいい さあこれでいいではないか今日一日私はここにおちつかう今日一日?ここはお前の住居ではないか私の心よお前の棲り木を愛するがいいお前の小鳥と同じやうに そこでお前…

「大阿蘇」『霾』

雨の中に馬がたつてゐる一頭二頭仔馬をまじへた馬の群が 雨の中にたつてゐる雨は蕭蕭と降つてゐる馬は草を食べてゐる尻尾も背中も鬣も ぐつしより濡れそぼつて彼らは草をたべてゐる 草をたべてゐる あるものはまた草もたべずに きよとんとしてうなじを垂れて…

「自畫像」『霾』

★ ここに會した 翼ある空のルンペン 僕は無料宿泊所だ 天使がくる 梟がやつてくる 僕らは君らに切符をあげる 君らは眠るがいい 朝の子たち 夜の子たち 君らみな 空腹のハンモツクに搖られて ★ 太陽の下 水の上 煙の頸環を風にくれて 僕は川波を蹴つて進む 僕…

「鴉」『霾』

一日、私は窓外の築地の甍に、索索たる彼の跫音を聽いた。塵に曇つた玻璃窓の眞近に、彼は一羽、さも大事の使者のやうに注意深く、けれども何の臆面もなく降りたつてゐた。さも惶だしげに、けれどもまたさも所在なげに、彼は左右を顧み、わづかに場所を移り…