三好達治bot(全文)

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『干戈永言』

「涕淚行」『干戈永言』

……………………敵壘下咫尺の壕に肉薄し夜を徹したり拂曉に突撃せんとす……かかる時四もは寂寞星しげき阜(つかさ)のかげに君が書を讀む兵ありと君やよし詩人(うたびと)の想(そう)に富ますも得ておもひ知りたまふまじ君が書はわが行嚢(かうなう)に門出の日負…

「蒼穹賦」『干戈永言』

八月二十日敵機九州北邉を侵す、わが邀擊機中敵機と高空に相衝擊して玉碎するもの三、操縦者山田野邉高木みな紅顔の靑年のみ、感に耐へず一詩を賦す。 嗚呼父の國母の國わが大君のしろしめす日の本の空この大空に戰ひて死ぬをほまれと靑雲のたたなはる上日一…

「リラの花匂ふ朝鮮」『干戈永言』

リラの花匂ふ朝鮮ポプラの並木高くはるかに灰色の鶴黃昏の川水にたたずむ朝鮮白衣の人彼方を步み艸靑く古墳のつかさつかさを覆へる丘べ松の根方に黃なる牛繫ぎ放たれてわがゆく小徑をさまたげし旅の思出古陵癈寺斷礎龜跌城あとに蒲公英咲き鵲はきみしき電柱…

「窗下の海」『干戈永言』

一 北海波黑く冰霰屡到る客愁また暗澹として何事か呼ばんと欲し更にまた緘默す嗚呼人(ひと)生を必せず死を必するの時白鷗烈風に啼く人事他なしただ心機一瞬を尚ぶべし 二 心機ただ一瞬を尚ぶべしたまたま我は家鄕をすて北海の濱に流寓す骨枯れ肉はたゆけれ…

「まつ靑な五月の空だ」『干戈永言』

まつ靑な五月の空だまつ靑な五月の海だ南へ南へ ぽつかり浮かんだ雲がいくつ しづかに南へ流れていくその下で海豚(いるか)のむれが踊つてゐる僕らはみんな砂濱にでて胸を張つて遠くを眺めた僕らは南の方の遠い水平線をみつめてゐた僕らはなにか大きな聲で…

「美なるかな神州」『干戈永言』

この日天靑きに風起り雲飛び雪ふる三度霰ふる三度す耳目凛烈怒濤海を囓み枯木みな鳴る昭和第二十肇國二千六百五歲々旦玆に越に假寓し身騾背にあるが如し白鷗窗を過ぎ寂寞として聲あるを聽く彼方山みな白き國土を望み步して我れ路上に彳ちまた往かんとすると…

「乾坤無韻」『干戈永言』

輕鞭一揮さへ寂寞聲あり 況や是れ大風支裂して高響君自ら聽く 年少敢爲の士已に立つ四大の外 波を踏み雲に駕し來る寇虜ただ戲影―― 昏愚骨枯れ日に頽然爐に感を作し馬齡を羞ず數々(しばしば) 噫乾坤もと韻なし嚠喨雲鶴號ぶ 三好達治「乾坤無韻」『干戈永言…

「神風隊てふ」『干戈永言』

十機ゆき十機かへらず百機ゆき百機かへらず神風隊てふ この日ゆく空のはやをら明日ゆかん伴(とも)もかへらじ神風隊てふ さきゆくはゆきてかへらずのちゆくもただにかへらじ神風隊てふ あなあたらうらわかき身をさけくだけかげもとどめず神風隊てふ 日の本…

「決戰の秋はきたれり」『干戈永言』

一すめらみくにの興廢はけふのいくさにかかりたりああこのいくさかたずんば祖宗のくにをいかにせん たて一億決戰の秋はきたれり 二すめらみくにのもののふがちしほにそめしくれなゐのなみのとたかし北海になみのとたかし南海に たて一億決戰の秋はきたれり …

「けふのこのおほみいくさに」『干戈永言』

けふのこのおほみいくさに勝たずんば亞細亞は亡ぶことあげはいかにいふとも人倫も學も技藝も産業も枯れ荒び朽ち大東亞十億の民はてしなき奈落に墮ちん敵はかの鐡の重壓カタピラの踏みゆくところ一穗の光明のたね一物の微だにあまさずすゑのすゑいやはての終…

「敵機來る」『干戈永言』

敵機來る敵機夜陰に乘じて來る敵機拂曉にまぎれてくる敵機また白晝われらの頭上を冒して來る敵機來る敵機遠く千里の外より神州の本土を侵攻し來れりわが精銳猛鷲百たびこれを擊ちて退くとも敵もまたこりずまに百たび來りさらにまた百たびもその意志をくりか…

「驅逐艦」『干戈永言』

空はまつ赤な夕燒の中を靜かにここに入つてきた驅逐艦驅逐艦が二隻港の島かげに舳(へさき)をそろへて碇泊した鋼鐡の軋るかすかな音が聞こえてくる甲板には人影がすばやく動いてゐる何か操作をつづけてゐるのだ遠い外洋から歸つてきた驅逐艦はまだ休息の「…

「旭日旗樹つ」『干戈永言』

サイパンは神州の南關旭日旗ここに翩翩と樹つ驕虜ここに蝟集し來り艦砲ここに直射し爆彈ここに雨ふれど旭日旗嚴として硝煙の間に樹つ戰艦咫尺に出没し飛機頭上を覆ひ輕舸走せ戰車驅り來り既にして敵勞われに幾倍勢に傲りて跳梁をほしいままにせんとす然れど…

「六月また來り」『干戈永言』

六月また來りみどり萌えさかえつばくらら軒端に孵りさへづれり麥の穗は黃ばみつらなりありなしの風にもふるへおののけりああ中世勇武のみいくさ四方(よも)に戰ひ四方に捷てどもしかれどもあたもまた未だ降らずしきりにはかりごとをめぐらし皇國の四邉に來…

「かの空を見よ」『干戈永言』

かの空を見よかの海を見よそこを戰(いくさ)の場(には)として眼にあまる敵と相擊ち敵をしりぞけ給ひける海の長(おさ)日出づる國の聯合艦隊司令長官海軍大將古賀峯一君つひに機上にたふれ給へりとこの日報あり一度(ひとたび)は山本提督二度(ふたたび…

「大東亞共榮圈の靑空は僕らの空」『干戈永言』

大東亞共榮圈の靑空は僕らの空日の丸ひるがへる空日の丸を翼にそめた荒鷲のとびかふ大空何人の侵すをゆるさず何人の汚すをゆるさず大東亞共榮圈靑空は僕らの空 大東亞共榮圈のはてしなき空の隅々敵機ばら百機來らばいざ百機のこさず擊ちて靑空の雲のうへより…

「ゆけ學徒」『干戈永言』

肇國二千六百餘歲國步いま 最も艱難の時にあたれりみ軍は四方(よも)に戰ひ 勝ちがたきいくさに捷てど賊虜また日に旺んに波濤を踐(ふ)み 長風に御しはるかに東西南北より神州の隙(げき)をうかがはんとすそらにみつやまとの國の名にしおふともの逸雄(は…