2017-04-26から1日間の記事一覧
この日天靑きに風起り雲飛び雪ふる三度霰ふる三度す耳目凛烈怒濤海を囓み枯木みな鳴る昭和第二十肇國二千六百五歲々旦玆に越に假寓し身騾背にあるが如し白鷗窗を過ぎ寂寞として聲あるを聽く彼方山みな白き國土を望み步して我れ路上に彳ちまた往かんとすると…
輕鞭一揮さへ寂寞聲あり 況や是れ大風支裂して高響君自ら聽く 年少敢爲の士已に立つ四大の外 波を踏み雲に駕し來る寇虜ただ戲影―― 昏愚骨枯れ日に頽然爐に感を作し馬齡を羞ず數々(しばしば) 噫乾坤もと韻なし嚠喨雲鶴號ぶ 三好達治「乾坤無韻」『干戈永言…
十機ゆき十機かへらず百機ゆき百機かへらず神風隊てふ この日ゆく空のはやをら明日ゆかん伴(とも)もかへらじ神風隊てふ さきゆくはゆきてかへらずのちゆくもただにかへらじ神風隊てふ あなあたらうらわかき身をさけくだけかげもとどめず神風隊てふ 日の本…
一すめらみくにの興廢はけふのいくさにかかりたりああこのいくさかたずんば祖宗のくにをいかにせん たて一億決戰の秋はきたれり 二すめらみくにのもののふがちしほにそめしくれなゐのなみのとたかし北海になみのとたかし南海に たて一億決戰の秋はきたれり …
けふのこのおほみいくさに勝たずんば亞細亞は亡ぶことあげはいかにいふとも人倫も學も技藝も産業も枯れ荒び朽ち大東亞十億の民はてしなき奈落に墮ちん敵はかの鐡の重壓カタピラの踏みゆくところ一穗の光明のたね一物の微だにあまさずすゑのすゑいやはての終…
敵機來る敵機夜陰に乘じて來る敵機拂曉にまぎれてくる敵機また白晝われらの頭上を冒して來る敵機來る敵機遠く千里の外より神州の本土を侵攻し來れりわが精銳猛鷲百たびこれを擊ちて退くとも敵もまたこりずまに百たび來りさらにまた百たびもその意志をくりか…
サイパン敵手に落つ報は七月十八日十七時慘として一億が耳朶を撲ち肺腑に徹す寇虜日に勢を逞しくし南溟の要關つひに援けなく孤壘夷(たひら)ぎ火砲碎け硝藥盡き刀刃折る而もなほ守兵險に據り嵎を負ひ萬死の地寸土をだもかりそめにせずああ將士みな至尊のま…
空はまつ赤な夕燒の中を靜かにここに入つてきた驅逐艦驅逐艦が二隻港の島かげに舳(へさき)をそろへて碇泊した鋼鐡の軋るかすかな音が聞こえてくる甲板には人影がすばやく動いてゐる何か操作をつづけてゐるのだ遠い外洋から歸つてきた驅逐艦はまだ休息の「…