2017-04-20から1日間の記事一覧
歷史は一の運行にして船舶これを載せ、船舶これを運ぶ。今日鐵塊を擊ち、鐵板を截つて船舶を建造する者、卽ち兄らは兄らの雙手をもて國民の意志を押し切り、祖國の正義をはるかに萬里の外に布く者、まことに手づから今日の歷史を設計し運營し推進する者。兄…
半宵眠り成りがたくひそかに思ふ萬里の外星かげまれなる夜陰をつらぬき一の艦影幻の如く煤煙遠くふきなびけ舷燈ことごとく滅して疾航(しつかう)し疾航するを――風はやし吹雪まひいでかぐろき怒涛舷側の飛沫聲あるものことごとく叫び吼え聲なき石は緘默(か…
丘のべにさくらは咲きぬ濠ばたにさくらは咲きぬ町びとのつきかふつむじ海とほく見ゆるつつみにげにうらうらとさくらの花はさきいでぬ萬里のほかにゑびすらをうらせたまひてうるそ身はかへりたまはぬ益良男のみたまいまかへりたまひぬしきしまのやまとの國に…
松の林のした草ははやうらうらと萌えてしが彌生高潮(やよひたかしほ)鳴るなべに坐りてむすぶ白砂はなほしをゆびにつめたけれつめたき砂をいくたびかわれはむすびつたなぞこにもろき小阜(つかさ)はくづほれぬそがひの山は暮るるとて彼方に赤き雲は燃ゆこ…
そのこころうらうらとそのすがたたをやかに權(けん)たかききはにはあらぬそのよそひうすくれなゐにつつましきいざ彌生 ひいなまつりのもものはなさすたけのきみらのはなぞげにこのくにのをとめごらこのはなこそは――きのふけふしたてるばかりにさきにほふを…
あなあたらますら武夫(たけを)がうつし身はゑびすが彈丸(たま)にはじけとびたまひけらしなけふ春の野べをとどろと走りこしひとつらの汽車靖國のみたまをのせて雲雀啼く寒驛の晝しづかなる構舎に入りぬ昨(さく)の夜は警報布(し)きて村人らかたみにた…
さくらの下に子らあまたつどひて遊べうらうらとさくらの花のさきいづる並木のかげはものなべてほのかににほひ明るみて肌さむき日のうす陽さへわきてなつかしこぞの日のかかる春日はるひもわれはこの水のほとりに古椅子にいこひてものを思ひたり國こぞり讐の…